支給の繰り下げ

支給の繰り下げは繰り上げとは異なり、老齢厚生年金、老齢基礎年金別々に行うことができます。もちろん同時に繰り下げることも可能です。

支給繰り下げの増額率は、繰り上げの減額率より高く設定されていて1月あたり7/1000の割合で増額されます。ただし、繰り下げの最大幅は60月までです。

老齢厚生年金の支給繰り下げ制度は、元々認められていましたが、平成12年の法改正の時に廃止となり、平成16年の法改正で復活しました。この制度の施行が平成19年4月1日からなので、平成19年3月31日までに本来の老齢厚生年金の受給権を取得した人については適用されません。

支給繰り下げができる要件

次の要件を満たした場合に、老齢厚生年金の支給繰り下げの申出をすることができます。

  1. 老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して1年を経過した日前に老齢厚生年金を請求していなかったこと
  2. 老齢厚生年金の受給権を取得したとき、または受給権を取得した日から1年を経過したした日までの間に、次の年金給付の受給権を有しないこと
    • 厚生年金法による他の年金たる保険給付
    • 国民年金法による年金たる保険給付(老齢基礎年金および付加年金並びに障害基礎年金を除く)
    • 他の被用者年金各法による年金たる給付(退職を支給事由とするものを除く)

1年を経過した日後に障害年金等の受給権を取得した場合

1年を経過した日後に障害年金等の受給権を取得した場合の繰り下げ

1年を経過した日後に障害基礎年金以外の障害年金または遺族年金の受給権者となった人が、受給権者となった日(障害基礎年金以外の障害年金又は遺族年金を支給すべき事由が生じた日)以後に老齢厚生年金の支給繰り下げの申出をしたときは、受給権者となった日において老齢厚生年金の支給繰り下げの申出があったものと見なされます。

支給繰下げの申出をしたとみなされる場合

受給権を取得した日から5年を経過するまでに老齢厚生年金を受給していなかったとき、他の年金の受給権者となった者
老齢厚生年金の支給繰下げを申し出た場合は、他の年金給付を支給すべき事由が生じた日に支給繰り下げの申出があったとみなされます。
受給権を取得した日から5年を経過した日後に老齢厚生年金の支給繰下げを申し出たときとき、
5年を経過したした日に支給繰り下げの申出があったとみなされます。

いずれの場合も、支給繰り下げの申出があったとみなされる日にさかのぼって給付が行われます。

年金額の加算

繰り下げした老齢厚生年金には、繰り下げ加算額が加わります。次の式で求めます。

繰り下げ加算額=(繰り下げ対象額+経過的加算額)×増加率

繰り下げ対象額とは、受給権発生時点での老齢厚生年金の額に平均支給率を乗じたものです。その平均支給率とは、受給権が発生した月の翌日から繰り下げの申出を行った月までの各月の支給率を計算し、その平均した数字です。さらに、その支給率とは65歳以上の在職老齢厚生年金の仕組み(65歳以上の年金額の支給停止を参照)による支給停止額を受給権発生時点での老齢厚生年金の額で除して得た数字を1から控除した数字です。増額率は1月あたり7/1000で、上限月数は60月です。

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