国民年金との違い

おおざっぱに言えば、国民年金は自営業者や失業者などが加入し、厚生年金保険は事業所に雇用されている労働者が加入します。

保険料

保険料

国民年金では、自営業者などを1号被保険者、会社員など事業所に雇われている労働者を2号被保険者、その2号被保険者の被扶養配偶者を3号被保険者と呼んでいます。2号被保険者は厚生年金保険に加入しているのになぜ国民年金の被保険者になるのでしょうか。

国民年金というのは全国民が加入しなければならない年金制度なのです。したがって、会社員もその被扶養配偶者も国民年金に加入しています。しかし、2号、3号被保険者の国民年金と厚生年金の保険料を別々に納付するのは煩雑になりますから、まとめて厚生年金の保険料で両方の年金の保険料を支払うようになっています。厚生年金保険から国民年金へ拠出する金額は国民年金の被保険者に占める2号、3号被保険者の合計数との割合で決められます。

国民年金の保険料は男女、年齢、収入関係なく一定額(現在は毎年上昇中)を納付しますが、厚生年金保険の保険料は給与(厚生年金保険では報酬と言います。)に一定率(1号、2号が同率)を乗じて保険料を計算しますから、報酬額が大きければ保険料も多く支払うことになります。

保険料の納付に関して国民年金と厚生年金保険とでは大きな違いがあります。国民年金の保険料は全額被保険者が負担しますが、厚生年金保険では事業主と被保険者が折半して支払います。実際は、保険料の半額が報酬からあらかじめ控除(天引き)されて、事業主が全額を納付することとなります。

保険給付

国民年金、厚生年金保険とも保険給付の種類はほぼ同じですが、細かいところでは違いがあります。主な給付には、老齢や退職による給付である老齢基礎年金と老齢厚生年金、ケガや病気で障害が残った場合に支給される障害基礎年金と障害厚生年金、被保険者や被保険者であった者が死亡した場合、遺族に支給される遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。

老齢基礎年金と老齢厚生年金は、原則としてともに65歳から支給される年金です。老齢厚生年金は、受給権を取得したときに一定要件を満たした65歳の配偶者や子がいれば、加給年金額が加算されて老齢厚生年金が支給されます。

ケガや病気で体に障害が残れば支給される障害厚生年金は、支給対象となる障害の程度が1級から3級まであります。(障害基礎年金は1級と2級)障害基礎年金では受給権を取得したときに一定要件の子がいれば年金額が加算されますが、障害厚生年金では一定要件の配偶者がいる場合に年金額が加算されます。

被保険者や被保険者であった者が死亡したとき、厚生年金保険では一定範囲の遺族に遺族厚生年金が支給されますが、国民年金では、子のある妻または子に対してのみ遺族基礎年金が支給されます。

大きな3種類の給付を見てみると、厚生年金保険は国民年金の保険給付に比べて給付の範囲が広く手厚いのが分かります。

保険料の項でお話ししたように、厚生年金保険の被保険者は同時に国民年金の被保険者ですから、要件を満たせば国民年金と厚生年金保険の両方から保険給付の支給を受けることになります。

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