障害厚生年金の年金額の改定

負傷や疾病が原因である障害は、時間の経過によって悪くなったり、逆に良くなったりします。また積極的なリハビリなどによっても障害の程度が軽くなったりします。

障害厚生年金は障害の程度に応じて年金額が決定・支給されますから、障害の程度が年金支給決定時と較べて変化したときは、年金の額を改定しなければなりません。

年金額の改定

障害厚生年金の年金額改定には次の4つのパターンがあります。

職権による改定

厚生労働大臣は、障害厚生年金の受給権者について、その障害の程度を診査し、その程度が従前の障害等級以外の障害等級に該当すると認めたときは、その程度に応じて、障害厚生年金の額を改定することができます。

この規定で年金額が改定されたときは、改訂後の額による障害厚生年金の支給は、改定が行われた月の翌月からとなります。

しかしながら、65歳以上の者または65歳未満の繰り上げ支給された老齢基礎年金の受給権者であって、かつ障害厚生年金の受給権者(障害厚生年金と同一の事由による障害基礎年金の受給権を持たないものに限る)については適用されません。

障害の程度の増進による改定請求

障害厚生年金の受給権者は、厚生労働大臣に対して障害の程度が増進したことによる障害厚生年金の額の改定を請求することができますが、この請求は障害厚生年金の受給権を取得した日または厚生労働大臣の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後でなければ行うことはできません。

職権による改定と同様、65歳以上の者または65歳未満の繰り上げ支給された老齢基礎年金の受給権者であって、かつ障害厚生年金の受給権者(障害厚生年金と同一の事由による障害基礎年金の受給権を持たないものに限る)については適用されません。

その他障害との併合による改定請求

その他障害との併合による改定請求

障害厚生年金の受給権者(その権利を取得した当時から引き続き障害等級3級の者は除く)であって、その先発障害とは別の傷病で障害等級1級または2級に該当しない障害を残すこととなった場合、その後発障害と先発障害とを併合した障害の程度が先発障害の程度より増進したときに、厚生労働大臣に対し年金額の改定を請求できます。ただし、この請求は65歳に達する日の前日までに行わなければなりません。

この「その他障害との併合による改定請求」は図のように障害等級2級の先発障害が後発のその他障害との併合によって障害等級1級に増進する場合のみです。

障害基礎年金等との併合

障害基礎年金との併合

右図1のケースは、2級の障害厚生年金と障害基礎年金とを受給していた者が、退職して国民年金の被保険者となり他の支給事由による2級の障害基礎年金の受給権者となった場合を表しています。このケースにおいては、前後の障害を併合した障害の程度に応じて障害基礎年金が併合認定され1級となった場合は、同時に障害厚生年金の等級も2級から1級へ引き上げられます。

2のケースは、2級の障害基礎年金を受給していた者が、就職して厚生年金の保険の被保険者となり他の支給事由による2級の障害厚生年金と障害基礎年金の受給権者となった場合を表しています。この場合も、前後の障害を併合した障害の程度に応じて障害基礎年金が併合認定され1級となった場合は、同時に障害厚生年金の等級も2級から1級へ引き上げられます。

3のケースは1のケースに似ていますが、後発の障害が3級以下のその他障害だったケースです。この場合も、前後の障害を併合した障害の程度に応じて障害基礎年金が併合認定され1級となった場合は、同時に障害厚生年金の等級も2級から1級へ引き上げられます。

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