脱退手当金

脱退手当金は、昭和60年の改正により廃止されましたが、現在でも昭和16年4月1日以前生まれの者が要件を満たせば支給されます。

脱退手当金の支給要件

昭和16年4月1日以前生まれの者が、次の要件をすべて満たしたとき、脱退手当金が支給されます。

  • 厚生年金保険の被保険者期間(第4種被保険者であった期間を含む)が5年以上あること
  • 被保険者資格を喪失(死亡によるものを除く)していること
  • 60歳以上であること
  • 老齢厚生年金(旧法による老齢年金及び通算老齢年金を含む)の受給期間を満たしていること
  • 障害厚生年金(旧法による障害年金を含む)の受給権者でないこと
  • 障害厚生年金(旧法による障害年金を含む)または障害手当金(旧法による障害手当金を含む)を受けたことがある者につては、その額が脱退手当金の額以上でないこと

脱退手当金の支給額

脱退手当金の額は、被保険者であった期間の平均標準報酬月額に支給率を乗じた額になります。

平均標準報酬月額とは?

被保険者期間各月の標準報酬月額を合計し、被保険者期間の月数で除したものが平均標準報酬月額です。ただし、平成15年4月1日前の被保険者期間があるときは、次のように求めます。

平成15年3月までの被保険者期間の各月の標準報酬月額の合計額、平成15年4月以後の被保険者期間の各月の標準報酬月額の合計額を1.3で除した額、平成15年4月以後の被保険者期間の標準賞与額の合計額を1.3で除した額を合計し、それを全被保険者期間の月数で除します。

脱退手当金の支給率
被保険者期間支給率被保険者期間支給率
60月以上72月未満1.1156月以上168月未満3.3
72月以上84月未満1.3168月以上180月未満3.6
84月以上96月未満1.5180月以上192月未満3.9
96月以上108月未満1.8192月以上204月未満4.2
108月以上120月未満2.1204月以上216月未満4.6
120月以上132月未満2.4216月以上228月未満5.0
132月以上144月未満2.7228月以上5.4
144月以上156月未満3.0

脱退手当金の支給効果

脱退手当金を受けたときは、その額の計算の基礎となった被保険者であった期間は、被保険者でなかったものとみなされます。

ただし、昭和61年3月31日以前に脱退手当金を受けた場合、被保険者であった期間のうち昭和36年4月1日以後の期間については、支給を受けた者が昭和61年4月1日以後65歳に達する日の前日までに保険料納付済期間または保険料免除期間を有するに至ったときは、老齢基礎年金の合算対象期間に算入されます。

合算対象期間とは?

いわゆる「カラ」期間のことです。年金制度が不備な時代では、強制加入でなかったために加入しなくてもよかった専業主婦や国民年金では加入期間が20歳以上60歳未満であるため、厚生年金保険に加入している20歳未満や60歳以上の期間が合算対象期間に当たります。老齢基礎年金の受給要件は原則として被保険者期間25年ですが、この合算対象期間も被保険者期間とみなされてカウントされます。しかし、年金額の計算においては合算対象期間は考慮されません。

失権

脱退手当金の受給権は、受給権者が被保険者となったとき、または老齢厚生年金等若しくは障害厚生年金等の受給権を取得したときは消滅します。

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