遺族厚生年金の支給要件

遺族厚生年金が支給されるケースは4通りあります。

  • 被保険者が死亡したとき
  • 被保険者であった者が被保険者期間中に初診日のある傷病で初診日から5年以内に死亡したとき
  • 障害等級1級又は2級の障害厚生年金の受給権者が死亡したとき
  • 老齢厚生年金の受給権者又は受給資格者が死亡したとき

それぞれ被保険者等の要件や一部の受給資格者には保険料納付要件が必要となりますから、どのケースに該当するかを確認することが重要です。

被保険者等の要件

次の短期要件または長期要件のいずれかに該当しなければなりません。

短期要件
・被保険者(失踪の宣告を受けた被保険者であった者で、行方不明となった当時被保険者であった者を含む)が死亡したとき
・被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したとき
・障害等級1級又は2級の障害厚生年金の受給権者が死亡したとき
長期要件
老齢厚生年金の受給権者()又は老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている者が死亡したとき

()老齢厚生年金の受給権を有しているが請求していない間に死亡した場合であっても、遺族厚生年金の受給権は発生します。

死亡した被保険者又は被保険者であった者が短期要件、長期要件の両方に該当する場合(例えば、老齢厚生年金を受給していてかつ被保険者(いわゆる在職老齢年金の受給権者)、老齢厚生年金を受給している者が、被保険者期間中に初診日のある傷病で初診日から5年以内に死亡)、特に申出のないときは短期要件に該当するものとして取り扱われます。短期要件と長期要件とでは年金額の計算式が異なりますから、短期要件、長期要件いずれが有利かを見極める必要があります。

保険料納付要件

保険料納付要件が問われるのは、上記短期要件のうち、「被保険者(失踪の宣告を受けた被保険者であった者で、行方不明となった当時被保険者であった者を含む)が死亡したとき」と「被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したとき」です。

原則的な納付要件は、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があるときは、その被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間がその被保険者期間の3分の2以上あることが必要です。

平成38年4月1日前に死亡した場合については、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの1年間(死亡日の前日において国民年金の被保険者でなかった者については、死亡日の属する月の前々月以前における直近の国民年金被保険者期間に係る月までの1年間)に保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間(つまりは滞納期間)がなければ、保険料納付要件を満たすことになります。ただし、死亡日において65歳以上である場合には適用されません。(原則的な納付要件で判断されます。)

遺族の範囲と順位

遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であった者の配偶者、子、父母、または祖父母であって、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時(失踪の宣告を受けた被保険者であった者は、行方不明となった当時)その者によって生計を維持()したものとなります。ただし、妻以外の者にあっては、次に掲げる要件に該当した場合に遺族となります。

  • 夫、父母または祖父母については55歳以上であること
  • 子または孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、または20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻していないこと

()生計維持の状態とは、社会通念上普通の生活水準を保持するための相互維持の関係も含まれます。例えば、共働きでそれぞれの収入がさほど変わらなくても夫が死亡した場合、妻は夫によって生計を維持していたと考えられます。

被保険者または被保険者であった者の死亡当時胎児であった子が出産したときは、その子は被保険者または被保険者であった者の死亡当時その者によって生計を維持していた子と見なします。

遺族の順位は、1.配偶者と子、2.父母、3.孫、4.祖父母の順になります。遺族厚生年金は労働者災害補償保険と違い転給がないので、先順位者が受給権を取得すると、後順位者は遺族厚生年金を受け取れる遺族とはなりません。

転給とは

労働者災害補償保険(いわゆる労災保険)による遺族補償年金または遺族年金は、遺族がいる限り支給されます。例えば、妻、子、母が遺族であった場合、第1順位の妻が失権すれば第2順位の子に支給され、子が失権すれば母に支給されます。

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